「内装を変えれば、もっと客単価を上げられるのではないか」「競合店と差別化できる空間をつくりたい」——高級ラウンジの経営に携わる方なら、一度はこうした課題と向き合ったことがあるのではないでしょうか。
高級ラウンジにおいて、内装デザインは単なる装飾ではありません。顧客が「また来たい」と感じる体験そのものを設計する行為であり、売上や客単価、リピート率に直結する経営戦略の一つです。しかし、いざリニューアルや新規出店を検討すると、「どこに費用をかけるべきか」「高級感を出すにはどんな素材や照明が効果的か」といった具体的な判断に迷う場面は少なくありません。
本記事では、高級ラウンジの内装デザインを成功させるために必要な基本戦略から、空間演出のポイント、費用相場、施工時の注意点までを体系的に解説します。コンセプトの設計方法や素材・照明の選び方はもちろん、近年注目されている水の演出など、競合店と差がつく最新の空間演出テクニックも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
高級ラウンジの内装デザインで押さえるべき基本戦略

高級ラウンジの内装デザインを考える際、最初に取り組むべきは「何をつくるか」ではなく「誰のために、どんな体験を提供するか」という設計思想の確立です。ここでは、デザインの方向性を決める基本戦略について解説します。
コンセプト設計がすべての出発点
内装デザインの成否を分けるのは、明確なコンセプトの有無です。「高級感のある空間」という漠然としたイメージだけでは、素材選びも配色も照明計画もブレてしまいます。
コンセプトを設計する際は、以下の3つの軸で考えると方向性が定まりやすくなります。
1つ目は「世界観」です。和モダン、ヨーロピアンクラシック、ミニマルラグジュアリーなど、店舗全体を貫くデザインテーマを設定します。銀座の老舗クラブのような重厚感を目指すのか、六本木のラウンジバーのようなスタイリッシュさを追求するのかで、選ぶべき素材も空間構成もまったく異なります。
2つ目は「ターゲット層の明確化」です。30代の経営者層がメインなのか、50代以上の富裕層が中心なのかによって、求められる雰囲気や居心地のよさの基準は変わります。ターゲット層の価値観やライフスタイルを深く理解したうえで、彼らが「自分の居場所」と感じられる空間を設計することが重要です。
3つ目は「競合との差別化ポイント」です。同エリアの高級ラウンジがどのようなデザイン傾向にあるかをリサーチし、自店舗ならではの独自性を打ち出す要素を明確にしておきましょう。
内装デザインが経営に与えるインパクト
内装デザインは「見た目の問題」にとどまりません。適切に設計された空間は、顧客の滞在時間や注文単価に直接影響を与えます。
たとえば、照明の色温度を2,700K〜3,000K程度の暖色寄りに設定すると、落ち着きやくつろぎの雰囲気を演出しやすくなります。目的(会話の促進・回転率・写真映えなど)に合わせて、調光・調色で最適化するのが現実的です。また、カウンター周りの素材や仕上げに天然石やウォールナットなどの高級素材を採用すると、空間全体の知覚価値が高まり、価格帯の設計(客単価設計)と整合しやすくなる傾向があります。
内装デザインへの投資は、目に見える装飾への支出ではなく、顧客体験と収益構造を改善するための戦略的投資として捉えることが大切です。
高級感を演出する内装デザイン7つのポイント

ここからは、高級ラウンジの内装デザインで実践すべき具体的なポイントを7つに分けて紹介します。それぞれの要素がどのように空間の質を高め、顧客満足度の向上に寄与するかを解説していきます。
ポイント1:配色計画で空間の品格を決める
高級ラウンジの配色は、落ち着いたトーンで統一することが基本です。ブラック、ダークブラウン、ネイビー、ボルドーといった深みのある色をベースカラーに据え、ゴールドやシルバーなどのアクセントカラーを要所に配置することで、上質な雰囲気が生まれます。
配色で注意したいのは「色数を絞ること」です。使用する色は基本的に3〜4色以内に収め、空間全体に統一感を持たせましょう。壁面、床、天井、家具の色調がバラバラだと、どれだけ高価な素材を使っても安っぽい印象を与えてしまいます。
また、VIPルームやメインフロアなどエリアごとに微妙にトーンを変えることで、同じ店舗内でも異なる体験を提供できます。メインフロアはダークトーンで華やかさを演出し、VIPルームはより落ち着いた配色でプライベート感を強調するといった使い分けが効果的です。
ポイント2:素材選びで「触れてわかる高級感」をつくる
高級ラウンジの内装で顧客が無意識に感じ取るのが、素材の質感です。視覚だけでなく触覚にも訴えかける素材選びが、空間の格を決定づけます。
床材には大理石やタイル、無垢材のフローリングが定番です。大理石は圧倒的な高級感がありますが、メンテナンスコストも考慮する必要があります。タイルは耐久性と意匠性のバランスに優れ、飲食を伴うラウンジでは実用的な選択肢です。
壁面には、天然石の壁材やレザー張り、左官仕上げのテクスチャーウォールなどが高級感を演出します。特にエントランスやカウンター背面など、顧客の視線が集まる場所に上質な素材を集中させることで、限られた予算でも効果的に印象を高められます。
天井は見落とされがちですが、折り上げ天井やモールディング、間接照明を組み込んだ造作天井など、高さと奥行きを感じさせるデザインが空間の格をぐっと引き上げます。
ポイント3:照明設計で非日常の雰囲気を演出する
高級ラウンジにおいて、照明は空間の雰囲気を左右するもっとも重要な要素の一つです。同じ内装でも照明の設計次第で、まったく異なる印象の空間になります。
基本は「間接照明を主体とした多層構成」です。天井からの直接照明は極力抑え、コーブ照明(天井の折り上げ部分に仕込む間接照明)やフロアからのアップライト、テーブル周りのスポット照明を組み合わせることで、陰影のある奥行き感を生み出します。
カウンター周りでは、バックバーのライティングが店の顔を決めます。ボトル棚を背面から照らすことで、お酒のラベルや液体の色彩が美しく浮かび上がり、視覚的な演出効果が格段に高まります。LEDテープライトを棚板の下部に設置する手法は、比較的低コストで大きなインパクトを得られるため、改装時にも取り入れやすい方法です。
さらに、調光・調色機能を導入しておくと、時間帯や客層、イベントに応じて空間の印象を柔軟に変えることができます。開店直後は明るめの色温度で清潔感を演出し、深夜帯はより暖色系で落ち着いた空間に切り替えるといった運用が可能です。
シャンデリアやペンダントライトなどの装飾照明は、空間のフォーカルポイントとして効果的です。ただし、選定時には空間全体のデザインテーマとの調和を優先し、照明器具単体で悪目立ちしないよう注意しましょう。
ポイント4:カウンターと家具で店の品格を表現する
高級ラウンジにおいて、カウンターはまさに「舞台」です。天板の素材には天然石(御影石や大理石)、無垢の銘木、クォーツストーンなどが選ばれることが多く、その仕上げ一つで店舗全体の格が決まります。
カウンターの高さは、ハイカウンターで約1,000〜1,050mm程度が一つの目安ですが、着座中心か立ち飲み寄りかといった営業スタイルや、チェアの座面高・スタッフとの目線関係によって最適値は変わります。カウンターチェアとの組み合わせで、顧客が自然と良い姿勢で会話を楽しめる高さを検証しましょう。
ソファやテーブルは、見た目の美しさだけでなく「座り心地」が長時間の滞在に直結します。高密度ウレタンとフェザーを組み合わせた座面や、適切な硬さの背もたれは、顧客がリラックスして過ごせる空間づくりに欠かせません。生地にはハイグレードな合成皮革や耐久性のあるファブリックを選ぶことで、高級感とメンテナンス性を両立できます。
テーブルの間隔も重要なデザイン要素です。高級ラウンジでは隣席との距離を十分に確保し、プライバシーを守れる配置にすることが求められます。会話のプライバシーとサービス動線・避難動線の両方を考慮したうえで、余裕ある間隔を設定しましょう。具体的な寸法は席のグレードや店舗レイアウトによって異なるため、設計者や所轄消防と連携して最適化することをおすすめします。
ポイント5:動線設計で顧客体験を最大化する
動線設計は、顧客が入店してから退店するまでの「体験の流れ」を設計する作業です。高級ラウンジでは「顧客動線」と「スタッフ動線」の2つを分けて考える必要があります。
顧客動線で重視すべきは、エントランスから席に着くまでの「期待感の演出」です。入口から店内全体が見渡せてしまう構造は、高級ラウンジにおいてはマイナスに働きます。エントランスからメインフロアまでの間にアプローチ空間を設け、徐々に空間が広がっていく構成にすることで、非日常への導入効果を高められます。
スタッフ動線は、接客効率を左右する実務的な要素です。カウンター内の動きやすさ、バックヤードへのアクセス、各テーブルへのサーブのしやすさを検討し、顧客の視界に入りにくい位置にサービス動線を配置することが理想です。
ポイント6:エントランスでブランド価値を印象づける
高級ラウンジの第一印象を決めるのは、エントランスのデザインです。顧客がドアを開けた瞬間に「特別な場所に来た」と感じられるかどうかで、その後の体験全体の評価が変わります。
効果的なエントランスデザインの要素として、間接照明で照らされたサインやロゴ、重厚感のあるドアハンドル、アプローチ通路の素材やアートワークなどが挙げられます。限られたスペースでも、壁面の仕上げや照明の工夫次第で印象的なエントランスをつくることは可能です。
ビルテナントとして出店する場合は、エレベーターホールや共用廊下からの導線も含めてデザインを検討しましょう。店舗の入口だけでなく、そこに至るまでの空間体験を含めてブランドの世界観を構築することが重要です。
ポイント7:五感に訴える空間演出で競合と差をつける
配色・素材・照明・家具といった基本要素を押さえたうえで、さらに競合店と差別化を図るなら、五感に訴える空間演出が効果的です。
音響面では、BGMの選曲はもちろん、スピーカーの配置や音量の設計も空間の居心地を大きく左右します。天井埋め込み型のスピーカーで均一に音を広げるのか、特定のエリアだけに音楽を集中させるのかで、空間の使い方が変わります。高級ラウンジでは、会話の妨げにならない程度の音量で上質なBGMが流れている状態が理想的です。
香りの演出も近年注目されている要素で、ブランド独自のアロマをディフューザーで空間に漂わせることで、記憶に残る体験を提供できます。
そしてもう一つ、近年の高級ラウンジやホテルのバーで注目を集めているのが「水の演出」です。水の動きや気泡が生み出す視覚的な美しさと、かすかな水音による聴覚的なリラックス効果は、ほかの装飾では得られない独自の空間体験を提供します。
なかでも「バブルウォール」は、透明なアクリルパネル内を特許技術によって生み出された均一で美しい気泡が上昇する水景インテリアで、高級ホテルのロビーやラグジュアリーバーなどで導入が進んでいます。LEDライトによって気泡の色を自在に変化させられるため、店舗のコンセプトカラーに合わせた演出や、時間帯による雰囲気の切り替えにも対応できます。顧客のSNS投稿を促すフォトジェニックな装飾としても、集客面での効果が期待できる点は見逃せません。
バブルウォールについて詳しく知りたい方は、バブルウォール国内正規代理店の製品ページで仕様やサイズバリエーションを確認できます。
高級ラウンジの内装工事にかかる費用と内訳

内装デザインの方向性が固まったら、次に確認すべきは費用面です。ここでは、高級ラウンジの内装工事にかかる費用の相場と、予算内で最大限の効果を引き出すためのポイントを解説します。
内装工事費用の相場と坪単価
高級ラウンジの内装工事費用は、物件の状態や立地、仕上げのグレードによって大きく変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 項目 | 坪単価の目安 | 30坪の場合の概算 |
|---|---|---|
| スケルトンからの新規施工 | 60万〜100万円/坪(高級仕様では100万円超も) | 1,800万〜3,000万円以上 |
| 居抜き物件の改装 | 30万〜70万円/坪 | 900万〜2,100万円 |
| 部分リニューアル | 15万〜40万円/坪 | 450万〜1,200万円 |
※上記はあくまで目安であり、立地・物件条件・仕上げグレードによって大きく変動します。
費用の内訳としては、設計・デザイン費が全体の約10〜15%、内装仕上げ(床・壁・天井の造作)が約25〜30%、電気工事が約10〜15%、空調・給排水工事が約10〜15%、厨房設備(バー主体の場合は変動)が約15〜25%、家具・什器・サインが約5〜10%程度が一般的な目安です。ただし、高級ラウンジはバー業態に近い構成となるため、厨房設備の比率は抑えられる一方、内装仕上げや照明・音響への配分が大きくなる傾向があります。
高級ラウンジでは、トイレ・洗面台の仕上げにもこだわる必要があります。サニタリー空間の質は顧客評価に大きく影響する部分であり、ここを省略すると全体の高級感を損ねてしまうため、予算配分時に忘れずに組み込んでおきましょう。
費用を抑えつつ高級感を出すコツ
限られた予算で最大限の効果を出すには、「費用をかける場所」と「抑える場所」のメリハリが重要です。
まず、顧客の視線が集中するポイント——エントランス、カウンター天板、バックバー、テーブル天板——には優先的に予算を配分します。逆に、天井裏やバックヤード、客席から見えにくい壁面などは、コストを抑えた仕上げでも問題ありません。
また、お店の「見せ場」を一つ設定し、そこに投資を集中させる方法も効果的です。たとえば、カウンター背面に天然石のフィーチャーウォールを設置する、エントランスにアート作品を配置するなど、一点豪華主義で空間の印象を引き上げることができます。前述のバブルウォールのような水の演出も、この「一点集中型」の投資先として検討価値があります。初期費用は照明リニューアルなどと比べるとやや高くなりますが、視覚的なインパクトと差別化効果の面では高い費用対効果が見込めます。
| 演出方法 | 初期費用感 | 視覚的インパクト | メンテナンス負荷 | 差別化効果 |
|---|---|---|---|---|
| 照明リニューアル | 低〜中 | 中 | 低 | 中 |
| 壁面素材の変更 | 中 | 中 | 低 | 中 |
| アート・装飾品 | 低〜高 | 中 | 低 | 中 |
| 音響設備の導入 | 中 | 低 | 低 | 低 |
| 水の演出(バブルウォール等) | 中〜高 | 高 | 中 | 高 |
なお、バブルウォールなどの特殊な装飾設備の導入を検討する場合は、施工実績のある専門業者に相談することをおすすめします。ジーエムビー株式会社は、米国ミッドウエストトロピカル社の日本正規代理店として、設計段階からの相談対応や施工後のメンテナンスまで一貫したサポートを提供しています。製品の詳細や導入事例については、バブルウォール製品ページをご覧ください。
内装にこだわった高級ラウンジのデザイン傾向

ここでは、近年の高級ラウンジで見られるデザイントレンドと、成功している店舗に共通するデザインの特徴を紹介します。
トレンド1:和モダンの再解釈
日本の伝統的な美意識を現代的に再解釈した「和モダン」のデザインは、国内外の顧客から高い評価を得ています。格子や和紙、左官仕上げの壁面などの和の要素を、モダンな照明やミニマルな空間構成と組み合わせることで、唯一無二の空間が生まれます。
トレンド2:素材のコントラスト
異なる質感の素材を意図的に組み合わせるデザイン手法も注目されています。たとえば、粗い表面の天然石と磨き上げた金属、マットなファブリックと光沢のあるガラスといったコントラストが、空間に奥行きと視覚的な興味を生み出します。
トレンド3:テクノロジーとデザインの融合
スマートテクノロジーを活用した空間制御も、高級ラウンジの新しいトレンドです。IoTを活用した照明・空調の自動制御や、プログラム可能な演出照明(バブルウォールのLED色変化なども含む)によって、時間帯やシーンに応じて空間の雰囲気を最適化できるようになっています。
高級ラウンジの内装施工の流れと注意点

内装工事を成功させるためには、施工の流れを事前に理解し、各段階で適切な判断を下すことが重要です。
施工の一般的な流れ
高級ラウンジの内装施工は、一般的に以下のような流れで進みます。
コンセプト設計・ヒアリング(2〜4週間)から始まり、設計図面の作成と確認(3〜6週間)、見積もり取得と業者選定(2〜4週間)、施工(1〜3ヶ月)、検査・引き渡し(1〜2週間)というスケジュールが標準的です。ただし、実際の期間は物件条件(スケルトンか居抜きか)、ビル規定、排煙・防火区画に関する消防協議の有無などによって大きく前後します。居抜き改装であれば短縮できる一方、消防設備の調整が必要な場合は延びやすいため、余裕を持ったスケジュール設計が重要です。
施工時の注意点
高級ラウンジの内装工事では、以下の点に特に注意が必要です。
まず、消防法や建築基準法への適合を忘れずに確認してください。特にテナントビルの場合、防火区画や排煙設備に関する規制が適用されるケースがあり、デザインの自由度に影響する場合があります。
次に、防音・遮音対策です。深夜営業が前提の高級ラウンジでは、近隣テナントへの音漏れが問題になるケースが少なくありません。設計段階で適切な遮音工事を計画しておくことが、長期的な営業安定のカギとなります。
また、設計事務所や施工業者の選定時には、高級ラウンジやバー、クラブなどナイト業態の施工実績が豊富な業者を選ぶことを推奨します。飲食店の施工経験は豊富でも、高級ラウンジ特有の照明設計や音響計画に精通していない業者もあるため、過去の施工事例を必ず確認しましょう。
まとめ:あなたのラウンジに最適な内装デザインを見つけるために

高級ラウンジの内装デザインは、コンセプト設計、配色・素材・照明の選定、動線設計、そしてエントランスや五感に訴える演出まで、多岐にわたる要素を統合的に計画する必要があります。
成功のポイントを改めて整理すると、明確なコンセプトを軸にデザインの一貫性を保つこと、ターゲット層の期待を超える空間体験を設計すること、そして限られた予算の中で「見せ場」への投資を集中させることが挙げられます。
水の演出をはじめとする最新の空間演出テクニックも含め、自店舗にとって最適なデザインを見つけるためには、業態に精通した専門家への相談が近道です。
内装デザインのリニューアルや、バブルウォールなどの特殊演出設備の導入を検討されている方は、ジーエムビー株式会社のお問い合わせページからお気軽にご相談ください。店舗の規模やコンセプトに合わせた最適なプランを提案してもらえます。



