カジノ内装の高級感を実現する7つの空間演出手法|大阪IR設計者のための完全ガイド

夕暮れの大阪IR統合型リゾート外観と噴水ショーのイメージ

2030年秋頃の開業を目指す大阪IR(統合型リゾート)プロジェクト。初期投資額約1兆2,700億円規模(資材価格高騰等により変動の可能性あり)という、日本で初めて国が認定したIR区域計画に基づくカジノを含む統合型リゾートにおいて、カジノフロアの内装デザインは施設全体の成否を左右する重要な要素です。

マカオ、シンガポール、ラスベガスといった世界の競合IR施設と差別化しながら、日本らしさも表現したい。24時間営業のカジノフロアで顧客の滞在時間を最大化し、VIPルームではハイローラーを魅了する空間を創出したい。IR施設の設計・企画に携わる方なら、こうした課題に直面しているのではないでしょうか。

カジノ空間の高級感を演出する手法には、照明デザイン、素材選定、アート配置、水の演出など、複数のアプローチが存在します。

本記事では、世界のIR施設で実際に採用されている空間演出手法を7つ厳選し、それぞれの特徴、費用対効果、メンテナンス性を比較しながら解説します。大阪IRで世界水準の高級感を実現するための設計指針として、ぜひご活用ください。

大阪IR カジノフロア設計で求められる「世界水準の高級感」とは

クリスタルシャンデリアが輝く高級カジノフロアの内装

大阪IRのカジノフロアには、単なる豪華さではなく、顧客体験を最大化する戦略的な空間デザインが求められます。世界のIR施設を分析すると、成功するカジノ内装には共通する特徴があることがわかります。

まず重要なのは、時間を忘れさせる空間設計です。カジノフロアには窓がなく、照明によって時間感覚をコントロールすることが一般的です。マカオのグランドリスボアやシンガポールのマリーナベイサンズでは、間接照明を主体とした落ち着いた空間と、ゲームテーブル周辺の適度な明るさのコントラストによって、時間を意識しにくい没入感の高い環境づくりが図られています。

次に、五感に訴える多層的な演出です。視覚的な豪華さだけでなく、素材の質感、BGMの音響設計、空調による快適な温湿度管理まで、あらゆる要素が統合されて初めて「高級感」は完成します。ラスベガスのベラージオでは、ロビーの天井を彩る2,000個以上のガラス彫刻「フィオーリ・ディ・コモ」が象徴的ですが、これは視覚的インパクトだけでなく、来館者の期待感を高める演出装置として機能しています。

そして、差別化された独自性です。世界中のIR施設が競争する中、大阪IRが存在感を示すには、他にはない空間体験の提供が不可欠です。日本の伝統美とモダンデザインの融合、最新テクノロジーの活用、あるいは後述する水の演出など、独自の切り口を持つことが重要になります。

世界のIR施設に学ぶ カジノ内装の高級感を演出する7つの手法

複数の装飾手法を組み合わせたIRリゾートエントランス

カジノフロアの空間デザインで活用される主な手法を、世界の事例とともに解説します。それぞれにメリット・デメリットがあり、施設のコンセプトや予算に応じた選択が必要です。

照明デザイン(間接照明・シャンデリア・LED演出)

カジノ内装において最も基本的かつ重要な要素が照明設計です。照明は空間の雰囲気を決定づけるだけでなく、顧客の心理状態や滞在時間にも大きな影響を与えます。

高級カジノで採用される照明手法としては、間接照明による天井や壁面の演出、クリスタルシャンデリアによるフォーカルポイントの創出、LEDを活用したダイナミックな色彩演出などがあります。マカオのウィン・パレスでは、Performance Lake(噴水演出)や館内の大規模フラワーディスプレイと照明が連動し、到着時から非日常感を高める空間設計が施されています。

照明設計の初期費用は施設規模によって大きく異なりますが、メンテナンスコストが比較的低く、LED化によって電力消費も抑えられる点が利点です。ただし、照明だけでは他施設との差別化が難しいという課題もあります。

天井デザイン(折り上げ天井・装飾天井・高天井設計)

天井デザインは、空間の広がりと格式を演出する重要な要素です。高天井設計は開放感を生み出し、折り上げ天井(コーファード・シーリング)は古典的な重厚感を、装飾天井は芸術性を空間にもたらします。

シンガポールのマリーナベイサンズでは、曲線を多用した有機的な天井デザインが採用され、モダンでありながらも温かみのある空間を実現しています。一方、ラスベガスのシーザーズ・パレスでは、ローマ帝国をテーマにした装飾天井が施設全体のコンセプトを強調しています。

天井デザインは建築段階での決定が必要なため、後からの変更が困難です。また、高天井にすると空調効率が下がり、ランニングコストが増加する点にも注意が必要です。

壁面装飾(大理石・特注パネル・ミラー装飾)

壁面素材の選定は、カジノの高級感を直接的に左右します。大理石やオニキスなどの天然石材、特注の装飾パネル、ミラー装飾などが主な選択肢となります。

大理石は古くから高級建築に使用されてきた素材であり、その重厚感と耐久性は他の素材では代替が難しいものがあります。マカオのグランドリスボアでは、エントランスホールに大量の大理石が使用され、来館者に強烈な印象を与えています。

一方、ミラー装飾は空間を広く見せる効果があり、照明との組み合わせで幻想的な雰囲気を演出できます。ミラーや反射素材は、照明と組み合わせることで奥行き・非日常感を増幅でき、エレベーターホールや動線上の「演出ポイント」で効果的に活用されています。

天然石材は初期費用が高額になりますが、適切なメンテナンスを行えば数十年の耐久性があります。特注パネルは比較的コストを抑えながら独自のデザインを実現できるため、予算とデザインのバランスを取りやすい選択肢です。

フロア素材(高級カーペット・大理石タイル・特注デザイン)

カジノフロアの床材選定は、見た目の高級感だけでなく、機能面も重要な検討事項です。長時間立ち仕事をするディーラー、歩き回る顧客、チップや飲み物をこぼすリスクなど、様々な要因を考慮する必要があります。

高級カーペットは足への負担を軽減し、音の反響を抑える効果があります。複雑なパターンや施設のロゴを織り込むことで、ブランディング効果も期待できます。高級カーペットは遮音性・歩行快適性・汚れの目立ちにくさを両立しつつ、パターンでブランド体験を作れるため、ゲーミングフロアで一般的に採用される選択肢となっています。

大理石タイルは耐久性と高級感の両立が可能ですが、足への負担が大きく、滑りやすいという課題があります。VIPルームやエントランスなど、限定的なエリアでの使用が一般的です。

アート・彫刻の配置

現代アートや彫刻の配置は、カジノ空間に文化的な深みと独自性を加える手法として注目されています。著名アーティストの作品を導入することで、施設のステータスを高め、話題性を創出する効果が期待できます。

ラスベガスのベラージオでは、ピカソやウォーホルの作品を展示するギャラリーが併設され、カジノ客以外の来館者も引きつけています。マカオのMGMコタイでは、300点以上のアート作品がカジノフロアや通路に配置され、ギャラリーのような空間体験を提供しています。

アート作品は一点ものが多く、初期投資が高額になる傾向があります。また、作品の保護・保険・メンテナンスにも継続的なコストがかかります。ただし、作品の資産価値という側面もあり、投資対効果の評価は単純ではありません。

グリーンウォール・植栽デザイン

近年、サステナビリティへの関心の高まりとともに、グリーンウォール(壁面緑化)や室内植栽を取り入れるIR施設が増えています。自然要素を導入することで、人工的な空間に温かみと落ち着きを加える効果があります。

シンガポールのジュエル・チャンギ空港(IR施設ではありませんが、参考事例として)では、世界最大級の室内滝「レイン・ボルテックス」と熱帯植物の森が共存する空間が創出され、世界中から注目を集めました。この事例は、自然要素と建築の融合がいかに強力な体験を生み出すかを示しています。

グリーンウォールはメンテナンスに手間がかかり、照明条件や空調との調整も必要です。しかし、適切に管理すれば、他の装飾手法では得られない「生きた空間」を演出することが可能です。

ウォーターインテリア(バブルウォール・ウォーターウォール等)

7つ目の手法として、世界のIR施設で注目されている「ウォーターインテリア」を紹介します。ウォーターインテリアとは、水と光を組み合わせた空間演出装飾の総称で、代表的なものに「バブルウォール」(アクリルパネル内で気泡が上昇する装飾)や「ウォーターウォール」(壁面を水が流れ落ちる装飾)があります。

マカオ、シンガポール、ラスベガスなどのIR施設の一部では、ウォーターインテリアが導入されており、24時間営業のカジノフロアで顧客の視線を引きつける演出として活用されています。動きのある水景は人の注意を惹きつけやすく、空間への滞在意欲を高める要素の一つとして期待されています。

水の動きには人を惹きつける普遍的な魅力があり、これを内装に取り入れることで、静的な装飾では実現できない「動き」を空間にもたらします。バブルウォールの場合、LED照明との組み合わせで無限の色彩バリエーションが可能となり、時間帯やイベントに合わせた演出の切り替えも容易です。

大規模施設への導入を検討する場合、設計段階からの専門的な検討が重要になります。水を扱う装置であるため、防水処理、メンテナンス動線の確保、水質管理システムの設計など、建築計画との綿密な調整が必要です。

ウォーターインテリアに関する詳細な製品情報や仕様については、以下のページで確認できます。

各手法の費用対効果・メンテナンス性比較

IR施設の設計図面と模型が並ぶ設計事務所

IR施設の設計担当者が最も気になるのは、各手法の費用対効果ではないでしょうか。以下の比較表で、7つの手法を客観的に整理します。

装飾手法初期費用視覚的インパクトメンテナンス負担差別化効果施工期間
照明デザイン中〜高短〜中
天井デザイン中〜高
壁面装飾(大理石等)中〜高中〜長
フロア素材中〜高低〜中
アート・彫刻
グリーンウォール中〜高中〜高
ウォーターインテリア中〜高

この比較から見えてくるのは、各手法にはそれぞれ得意分野があり、単独で全ての要件を満たすものはないということです。実際のIR施設設計では、複数の手法を組み合わせて相乗効果を生み出すアプローチが一般的です。

例えば、照明デザインをベースとして、フォーカルポイントにアート作品やウォーターインテリアを配置し、壁面には大理石とミラーを組み合わせるといった多層的な構成です。一例として、基盤となる照明・仕上げ材におおよそ50〜60%、差別化のためのフォーカルポイント装飾に40〜50%程度を配分するケースも見られますが、具体的な比率は施設のコンセプトや発注者の戦略によって大きく変動します。

海外事例:マカオ・シンガポール・ラスベガスIR施設の空間デザイン分析

ラスベガス風の噴水ショーと夜景のIRリゾート

世界の主要IR施設における空間デザインの特徴を分析し、大阪IR設計への示唆を探ります。

マカオ:グランドリスボアの事例

マカオのグランドリスボアは、その外観の蓮の花をモチーフにした独特のフォルムで知られていますが、内装においても徹底した豪華さが追求されています。エントランスホールには大量の金箔と大理石が使用され、東洋と西洋のデザイン要素が融合しています。

特筆すべきは、水の演出を効果的に取り入れている点です。エントランス周辺のウォーターフィーチャー(水景施設)は、来館者に強烈な第一印象を与え、SNSでの拡散にも貢献しています。

シンガポール:マリーナベイサンズの事例

マリーナベイサンズは、建築家モシェ・サフディによる3棟のタワーとスカイパークという象徴的な外観で世界的に知られていますが、カジノフロアの内装にも独自の哲学が貫かれています。

カジノフロアでは、過度な装飾を避け、モダンで洗練されたトーンで統一し、アジアの富裕層が求める「落ち着いたラグジュアリー」を志向しています。照明設計には最新のLED技術が駆使され、時間帯によって雰囲気が変化する演出が施されています。

ラスベガス:ベラージオの事例

ラスベガスのベラージオは、「エレガンス」をコンセプトに1998年に開業した施設で、現在でもラスベガスを代表するIR施設の一つです。ロビー天井のガラス彫刻「フィオーリ・ディ・コモ」は2,000個以上のハンドメイドガラスで構成され、開業から25年以上経った今でも来館者を魅了し続けています。

また、施設前面の人工湖で行われる噴水ショーは無料で鑑賞でき、水の演出がいかに強力な集客装置となりうるかを証明しています。この噴水ショーは世界的な観光名所となり、施設のブランド価値向上に大きく貢献しています。

これらの事例から学べることは、単なる豪華さの追求ではなく、施設のコンセプトに一貫した空間デザインと、記憶に残るフォーカルポイントの創出が重要だということです。大阪IRにおいても、日本ならではの美意識や文化を反映しつつ、世界の来場者を驚かせる演出が求められるでしょう。

VIPルーム・ハイローラー向け空間の設計ポイント

バブルウォールを備えた高級VIPゲーミングルーム

IR施設の収益性において、VIP顧客(ハイローラー)の存在は極めて重要です。一般的なカジノフロアとは異なる、VIPルーム特有の設計ポイントを解説します。

プライバシーの確保

VIP顧客にとって、プライバシーは最重要事項の一つです。一般フロアから完全に分離された動線、防音対策、セキュリティシステムの充実など、物理的・心理的な安心感を提供する設計が必要です。

素材のグレードアップ

VIPルームでは、一般フロア以上に高級素材の使用が求められます。天然大理石、レザー張りの壁面、オーダーメイドの家具など、細部に至るまで「本物」にこだわることで、顧客の期待に応える空間を実現します。

パーソナライズされた体験

大口顧客は「特別扱い」を期待しています。照明の明るさや色温度の調整、好みのBGM選択、専用のバーカウンターなど、顧客の好みに合わせたカスタマイズが可能な設計が理想的です。

VIPルームの装飾においても、前述の7つの手法は有効です。特にウォーターインテリアは、プライベート空間にふさわしい静謐な雰囲気を演出できることから、VIP空間でもフォーカルポイントや静謐感の演出要素として検討されることがあります。自然音(流水音を含む)がリラックスやストレス回復に寄与しうるという研究報告があり、VIP空間で活かす場合は、遮音・BGM・会話プライバシーとの両立設計が前提となります。

IR施設へのウォーターインテリア導入を検討する際のポイント

ウォーターウォールの専門施工作業風景

ここまで7つの空間演出手法を解説してきましたが、その中でもウォーターインテリアは、視覚的インパクトと差別化効果の両面で優位性を持つ手法です。大規模IR施設への導入を検討する際には、以下のポイントを押さえておく必要があります。

設計段階からの計画が重要

ウォーターインテリアは後付けでの設置も可能ですが、大規模施設の場合は設計段階から計画に組み込むことで、より効果的な配置と、メンテナンス動線の最適化が可能になります。給排水設備、電気設備、防水処理など、建築計画との調整事項が多いため、早い段階での専門家との協議が推奨されます。

メンテナンス体制の構築

水を使用する装置であるため、定期的なメンテナンスは不可欠です。水質管理、ポンプ類の点検、アクリルパネルの清掃など、24時間営業のIR施設では、営業に支障をきたさないメンテナンス計画が重要になります。

信頼できるパートナーの選定

大規模施設へのウォーターインテリア導入には、設計から施工、アフターメンテナンスまで一貫して対応できる専門業者の選定が重要です。特に海外IR施設への納入実績を持つ業者であれば、大規模プロジェクト特有の課題への対応ノウハウを期待できます。

ジーエムビー株式会社は、米国ミッドウエストトロピカル社の日本正規代理店として、同社が世界各地のカジノ・リゾート施設で採用されてきたウォーターインテリア製品を日本市場向けに提供しています。IR施設へのウォーターインテリア導入について詳しく知りたい方は、設計段階からの相談が可能です。

まとめ:大阪IRで世界水準の高級感を実現するために

和モダンデザインのIRロビーとウォーターフィーチャー

本記事では、カジノ内装の高級感を実現する7つの空間演出手法について、世界のIR施設の事例とともに解説しました。

改めて7つの手法を振り返ると、照明デザイン、天井デザイン、壁面装飾、フロア素材、アート・彫刻、グリーンウォール、そしてウォーターインテリアです。これらの手法はそれぞれに特徴があり、施設のコンセプト、予算、差別化戦略に応じた最適な組み合わせを検討することが重要です。

2030年秋頃の開業を目指す大阪IRは、マカオ、シンガポール、ラスベガスといった世界の主要IRとも比較される存在となります。単なる豪華さの模倣ではなく、日本ならではの美意識や文化を反映した独自の空間体験を提供することが、国際的な評価を得るカギとなるでしょう。

空間デザインの検討は、建築計画の初期段階から始める必要があります。特にウォーターインテリアのような特殊設備を含む場合、設計・施工・メンテナンスを見据えた総合的な計画が求められます。大阪IR施設の空間設計でお悩みの方は、専門家への早めの相談をおすすめします。

設計段階からの無料相談・資料請求は以下より承っています。

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