美容クリニックの開業を検討する際、内装費用は総投資額の中でも大きな割合を占めます。適切な予算配分と戦略的な内装設計は、開業後の集患や患者満足度に直結する重要な要素です。
本記事では、美容クリニックの内装費用の相場から工事の流れ、費用を抑えるコツ、競合との差別化を実現するデザインのポイントまで、開業準備に必要な知識を網羅的に解説します。これから美容クリニックの開業を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
美容クリニックの内装が重要な理由

第一印象が患者に与える影響
美容クリニックは、患者様が「美しくなりたい」という期待を持って訪れる場所です。そのため、クリニックの第一印象は施術への信頼感や期待感に大きく影響します。
清潔感があり洗練された空間は、患者様に「ここなら安心して任せられる」という印象を与えます。特に美容クリニックでは、初診の患者様がカウンセリングで三十分から一時間程度滞在することも珍しくありません。待合室の居心地の良さは、患者様のリラックス度合いに直結し、カウンセリングでの意思疎通にも影響を及ぼします。
一方で、古びた印象や雑然とした雰囲気のクリニックでは、どれほど技術力が高くても患者様の不安を払拭することは困難です。美容医療という自由診療の性質上、患者様は複数のクリニックを比較検討してから来院を決めることが多いため、内装の印象は選ばれるかどうかを左右する重要な要素となります。
ブランディングと差別化の役割
美容クリニック市場は年々競争が激化しており、技術や価格だけでは差別化が難しくなっています。厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」によると、美容外科を標榜する診療所は2020年の1,404施設から2023年には2,016施設へと増加しており、特に都市部では同一エリアに複数のクリニックが存在するケースも珍しくありません。
このような状況で重要になるのが、内装デザインを通じたブランディングです。高級感を追求したラグジュアリーな空間、ナチュラルで親しみやすい雰囲気、最先端技術を想起させるスタイリッシュなデザインなど、クリニックのコンセプトに合わせた内装は、ターゲット層への訴求力を高めます。
また、現代ではSNS映えする空間づくりも重要な集患戦略のひとつです。患者様が自然とSNSに投稿したくなるような印象的な空間は、口コミによる新規患者獲得につながります。内装への投資は、広告費用としての側面も持っているのです。
スタッフのモチベーション向上
内装環境は患者様だけでなく、働くスタッフにも大きな影響を与えます。清潔で機能的な空間は日々の業務効率を高め、美しい環境で働くことはスタッフのモチベーション維持にも貢献します。
医療スタッフの採用難が続く中、魅力的な職場環境を整備することは人材確保の観点からも重要な投資といえるでしょう。求人募集の際にクリニックの内装写真を掲載することで、職場の雰囲気が伝わり、応募者の判断材料のひとつになることも期待できます。
美容クリニックの内装費用の相場

内装費用の基本的な相場と坪単価
美容クリニックの内装費用は、物件の状態や求める仕様によって大きく異なりますが、坪単価四十万円から七十万円程度がひとつの目安とされています。ただし、居抜き活用やシンプル仕様であれば三十万円台から、ラグジュアリー仕様や手術室など設備要件が重い場合は八十万円から百万円を超えるケースもあります。
価格帯別の特徴は以下の通りです。
シンプル型(低価格帯)は坪単価三十万円台から五十万円程度で、機能性を重視したベーシックな内装となります。壁や床は既製品の建材を使用し、装飾は最小限に抑えます。開業コストを抑えたい場合や、まずは小規模から始めたいケースに適しています。ただし、競合との差別化は難しくなるため、立地や施術内容で優位性を持つ必要があります。
中価格帯は坪単価四十万円から七十万円程度で、清潔感と居心地の良さを両立したバランスの取れた内装が実現できます。壁材や床材にある程度のグレードのものを使用し、間接照明なども取り入れることができます。多くの美容クリニックがこの価格帯で開業しており、標準的な選択肢といえます。
高価格帯は坪単価七十万円から百万円以上となり、高級感やラグジュアリー感を追求した内装が可能です。大理石調の素材や造作家具、特注の照明器具などを使用し、細部までこだわった空間を実現できます。富裕層をターゲットとする美容クリニックや、ブランドイメージを重視する場合に選択されます。
診療科目別の内装費用の相場
美容クリニックの中でも、提供する施術内容によって必要な設備や内装仕様が異なります。診療科目別の費用相場を把握しておきましょう。
美容皮膚科の場合、レーザー機器や光治療器、イオン導入器などの設置スペースが必要となります。これらの機器は発熱量が大きいため、適切な空調設備や電気容量の確保が求められます。坪単価は四十万円から七十万円程度を目安とするケースが多いとされていますが、導入する機器の種類や台数によって変動します。
美容外科では手術室の設置が必須となるため、内装費用は高くなる傾向があります。手術室には高性能な空調システム、医療ガス配管、非常用電源設備などの専門的な工事が必要です。また、術後の回復室やパウダールームも充実させる必要があります。坪単価は五十万円から九十万円程度まで幅を持って見込まれることが一般的です。
脱毛専門クリニックの場合は、比較的シンプルな設備で済むことが多いです。脱毛機器の設置スペースと施術ベッド、着替えスペースが主な設備となります。坪単価三十万円台後半から六十万円程度での開業事例もありますが、内装グレードによってはそれ以上となる場合もあります。競合との差別化のために内装にこだわるクリニックも増えています。
複合型クリニックとして美容皮膚科と美容外科の両方を提供する場合は、それぞれの設備が必要となるため、費用は増加します。将来的な拡張も視野に入れた設計を行うことで、後からの追加工事を最小限に抑えることができます。
地域別の内装費用の相場
内装工事の費用は地域によっても差があります。地域特性を理解した上で予算を組むことが重要です。
東京都心部(港区、渋谷区、新宿区など)では、人件費や物件条件の関係から相場より高くなる傾向があります。また、ビルの管理規約や工事時間の制限が厳しいケースも多く、夜間工事や休日工事が必要になると追加費用が発生します。
大阪、名古屋、福岡などの地方大都市では、東京よりもやや安価に抑えられるケースが多いです。ただし、美容クリニック専門の内装業者が限られる場合もあるため、業者選定には注意が必要です。
地方都市や郊外エリアでは、人件費や材料の運搬費が安く抑えられることがあります。一方で、専門性の高い内装業者が少ない地域では、都市部から業者を呼ぶ必要があり、出張費用が発生するケースもあります。
物件の立地がビルの高層階や商業施設内の場合、搬入経路の制約から追加費用が発生することもあります。エレベーターのサイズや養生の必要性、搬入可能な時間帯などを物件選定の段階で確認しておくことが重要です。
美容クリニックの内装工事の流れ

設計段階
内装工事は設計段階から始まります。この段階でクリニックのコンセプトや必要な設備、予算などを明確にし、設計者と共有することが重要です。
まず、ヒアリングを通じてクリニックの診療内容、ターゲット層、イメージする空間の雰囲気などを伝えます。この際、参考にしたい他院の写真や雑誌の切り抜きなどを用意しておくと、イメージの共有がスムーズに進みます。
次に、設計者が基本設計を作成します。基本設計では、間取りや各部屋の配置、大まかな仕上げのイメージなどが決定されます。この段階で患者様の動線やスタッフの動線、プライバシーへの配慮などを十分に検討することが重要です。
基本設計が承認されると、実施設計に移ります。実施設計では、使用する建材や設備機器の詳細、電気・給排水の配置などが具体的に決定されます。三次元パースや模型を作成し、完成イメージを視覚的に確認することもあります。
設計期間は、クリニックの規模や複雑さによって異なりますが、一般的に一か月から二か月程度を見込む必要があります。
施工段階
設計が完了すると、いよいよ施工段階に入ります。施工期間は規模によって異なりますが、三十坪程度の美容クリニックで一か月から二か月程度が目安です。
施工は一般的に以下の順序で進みます。まず、既存の内装がある場合は解体工事から始まります。スケルトン物件の場合はこの工程は不要です。次に、間仕切り壁の造作や天井の下地工事など、建築工事が行われます。
建築工事と並行して、電気配線工事、給排水工事、空調工事などの設備工事が進められます。美容クリニックでは医療機器用の専用回路や、手術室の換気設備など、専門的な設備工事が必要になることがあります。
設備工事が完了すると、壁や床、天井の仕上げ工事に移ります。クロスの貼り付け、床材の施工、塗装などが行われます。最後に、照明器具や衛生器具の取り付け、家具の搬入などが行われ、清掃を経て工事完了となります。
引き渡しと検査
工事完了後、施主検査を行います。設計図面通りに工事が行われているか、仕上がりに問題がないかを確認します。気になる点があれば、この段階で指摘し、補修を依頼します。
また、美容クリニックの開業には保健所への届出が必要です。構造設備基準を満たしているか、保健所の検査を受ける必要があります。設計段階で保健所に事前相談を行い、基準を確認しておくことで、検査時のトラブルを防ぐことができます。
消防法に基づく検査も必要です。消防設備の設置状況や避難経路の確保などが確認されます。これらの検査に合格しないと開業することができないため、設計段階から法令遵守を意識した計画を立てることが重要です。
美容クリニックの内装工事費用の内訳

設計費用の詳細
内装工事の設計費用は、案件によって異なりますが、総工事費の一割前後を目安として提示されることが多く、八パーセントから十五パーセント程度の幅で見積もられるケースがあります。三十坪の美容クリニックで総工事費が千八百万円の場合、設計費用は百四十四万円から二百七十万円程度となります。
設計費用には、基本設計・実施設計のほか、三次元パースの作成やカラーコーディネート、家具・備品の選定サポートなども含まれることが多いです。設計段階でしっかりと要望を伝え、完成イメージを共有することが、満足度の高い内装を実現する鍵となります。
設計と施工を同じ業者に依頼する「設計施工一括方式」を選択すれば、設計費用を抑えられるケースもあります。ただし、設計の自由度は分離発注方式に比べて制限される場合があります。
施工費用の内訳
施工費用は大きく分けて、建築工事費、電気設備工事費、空調・換気設備工事費、給排水衛生設備工事費に分類されます。各工事項目の割合は設計内容によって変動しますが、一般的な傾向として以下のような配分が見られます。
建築工事費には、間仕切り壁の造作、床・壁・天井の仕上げ、建具の設置、造作家具の製作などが含まれます。総工事費の四割前後を占める傾向があり、最も大きな項目です。床材や壁材のグレード、造作家具の有無によって大きく変動します。
電気設備工事費は総工事費の一割五分から二割程度の傾向があります。照明器具の設置、コンセント・スイッチの配線、分電盤の設置、弱電設備(電話・LAN・インターホンなど)の配線が含まれます。美容クリニックでは医療機器用の専用回路や、演出照明の設置などで費用が増加する傾向があります。
空調・換気設備工事費は総工事費の一割から一割五分程度の傾向があります。エアコンの設置、換気扇・換気ダクトの設置が含まれます。手術室を設ける場合は高性能な空調システムが必要となり、費用が大幅に増加します。
給排水衛生設備工事費は総工事費の五パーセントから一割程度の傾向があります。洗面台やトイレ、処置室の流し台などの設置費用が含まれます。給排水の配管距離が長くなると費用が増加するため、水回りの配置は効率的に計画することが重要です。
医療機器・備品の導入費用
内装工事費とは別に、医療機器や家具・備品の購入費用も大きな支出項目となります。これらは内装工事費には含まれないことが多いため、別途予算を確保しておく必要があります。
家具・備品には、診察台、カウンセリングチェア、待合室のソファやテーブル、受付カウンター、収納棚などが含まれます。既製品を使用するか、造作家具を製作するかによって費用は大きく異なりますが、数百万円規模の投資が必要です。
医療機器費は導入する機器の種類・台数で大きく変動します。美容皮膚科では、レーザー機器1台あたり七百万円から千五百万円以上と幅があり、複数台導入する場合は二千万円から三千万円程度のレンジで見積もる例もあります。美容外科の場合は、手術用機器や麻酔器などを含め、さらに高額になる傾向があります。リースや中古機器の活用によって初期投資を抑える方法もありますので、資金計画に応じて検討することをおすすめします。
内装工事に関する注意点

法令遵守の重要性
美容クリニックの内装は、医療法や建築基準法、消防法などの法令に適合している必要があります。法令違反があると開業の許可が下りないだけでなく、後から是正工事が必要になり、追加費用が発生するケースもあります。
医療法では、診療所の構造設備基準が定められています。診察室や処置室の広さ、換気設備、手洗い設備の設置などが規定されており、これらを満たす必要があります。設計段階で保健所に事前相談を行い、基準を確認しておくことが重要です。
消防法では、消火器や火災報知器、避難誘導灯などの消防設備の設置が義務付けられています。また、内装材の防火性能についても規定があり、使用できる材料に制限があります。
建築基準法では、採光や換気、避難経路などについて規定があります。特にビルのテナントとして入居する場合は、ビル全体の用途や構造によって制限を受けることがあります。
患者層に合わせた配慮
内装デザインは、ターゲットとする患者層に合わせて検討することが重要です。年齢層、性別、所得層などによって、好まれる雰囲気や求められる設備が異なります。
若い女性をターゲットとする場合は、トレンド感のあるデザインや、SNS映えするフォトスポットの設置が効果的です。一方、四十代以上の富裕層をターゲットとする場合は、落ち着いた高級感のある空間が求められます。
男性患者をターゲットに含める場合は、女性向けの華やかなデザインは避け、シンプルでスタイリッシュな空間が好まれる傾向があります。また、男性専用の待合スペースを設けるなどの配慮も効果的です。
設備配置の注意点
内装設計では、コンセントや水道の位置に十分な注意を払う必要があります。医療機器の設置場所を考慮せずに設計を進めると、後から配線工事や配管工事が必要になり、追加費用が発生します。
美容クリニックでは、高出力の医療機器を使用することが多いため、電気容量には余裕を持たせる必要があります。機器ごとに専用回路を設けることで、ブレーカーが落ちるトラブルを防ぐことができます。
水回りの配置も重要です。処置室や手術室には手洗い設備が必要ですが、給排水の配管距離が長くなると工事費が増加します。効率的な配置を心がけましょう。
内装デザインの成功ポイント

コンセプト設計の重要性
成功する美容クリニックの内装には、明確なコンセプトが欠かせません。「誰に」「どのような価値を」「どのような空間で」提供するのかを言語化することから始めましょう。
コンセプトを明確にすることで、内装デザインの方向性が定まります。たとえば、「三十代の働く女性に、忙しい日常から離れてリラックスできる癒しの空間を提供する」というコンセプトであれば、ナチュラルで温かみのあるデザインが適しています。
コンセプトは内装デザインだけでなく、ロゴやウェブサイト、スタッフの制服、接客スタイルまで一貫させることで、強いブランドイメージを構築できます。開業前にコンセプトをしっかりと固め、関係者全員で共有することが重要です。
患者目線での導線設計
機能的な導線設計は、患者様の快適性とスタッフの業務効率の両方に影響します。受付からカウンセリングルーム、処置室、パウダールーム、会計までの動線を患者様の視点でシミュレーションしましょう。
特に美容クリニックでは、施術前後の患者様同士が顔を合わせないようプライバシーに配慮することが重要です。施術後はメイクが落ちていたり、赤みが残っていたりすることがあるため、他の患者様の目に触れずに退院できる動線を確保しましょう。
パウダールームの位置や広さも重要なポイントです。施術後にゆっくりとメイク直しができるスペースを確保することで、患者様の満足度が向上します。鏡や照明、コンセントの配置にも配慮が必要です。
バリアフリー対応も忘れてはなりません。車椅子の方や高齢の患者様にも利用しやすい設計にすることで、幅広い層の集患につながります。段差の解消、手すりの設置、車椅子対応のトイレなどを検討しましょう。
差別化のための空間演出
競合クリニックとの差別化を図るうえで、印象に残る空間演出は効果的な手段です。内装にこだわることで、患者様の記憶に残るクリニックを作ることができます。
照明デザインは空間の雰囲気を大きく左右します。間接照明を効果的に配置することで、高級感や落ち着きのある空間を演出できます。調光機能を設けることで、時間帯や用途に応じた雰囲気づくりも可能です。待合室では柔らかい光でリラックス感を、カウンセリングルームでは適度な明るさで信頼感を演出するなど、空間ごとに照明を使い分けることが効果的です。
アートやオブジェの設置も空間の印象を高めます。クリニックのコンセプトに合った作品を選ぶことで、統一感のある空間が生まれます。季節ごとに装飾を変えることで、リピーターの患者様に新鮮な印象を与えることもできます。
近年注目されているのが、水を使った空間演出です。ウォーターウォールやバブルウォールといった水のインテリアは、視覚的な美しさに加え、水の動きや気泡の揺らぎによるリラックス効果が期待できます。ウォーターウォールでは水のせせらぎが心地よい音環境をつくり、バブルウォールでは静音設計により、静かな空間のまま視覚的な癒しを演出できます。待合室の空間体験を設計する要素として検討されることがあり、他院との差別化の手段になり得ます。なお、効果は立地・運用等によって異なるため、具体的な成果を保証するものではありません。
内装費用を抑えるためのポイント

居抜き物件の活用
内装費用を抑える方法として、居抜き物件の活用があります。前テナントがクリニックや医療機関であれば、電気容量や給排水設備がそのまま使える可能性が高く、スケルトンからの新装と比べて内装費用を大きく削減できるケースもあります。ただし、削減できる割合は物件の状態や改修範囲によって大きく異なります。
居抜き物件のメリットは費用削減だけではありません。工期を短縮できるため、早期開業が可能になります。また、既存の設備を活用することで、環境負荷の低減にもつながります。
ただし、居抜き物件を選ぶ際には注意点もあります。設備の老朽化状況や、現行の法令に適合しているかどうかの確認が必要です。また、前テナントのイメージが残っている場合、自院のブランドイメージとのギャップが生じる可能性もあります。必要な部分は改装を加え、コストと品質のバランスを取ることが重要です。
複数の業者からの見積もり取得
内装工事の費用は業者によって大きく異なります。同じ設計内容でも、業者によって数百万円の差が出ることもあります。最低でも三社以上から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。
見積もりを比較する際は、単純な金額だけでなく、含まれる工事範囲や仕様、使用する材料のグレードなども確認が必要です。安価な見積もりでも、実際に工事を進めると追加費用が発生するケースもあるため、詳細な項目まで確認しましょう。
「一式」でまとめられた項目が多い見積書は要注意です。内訳が不明確な見積もりは、後からのトラブルの原因になりやすいです。詳細な内訳を要求し、納得した上で契約を進めることが重要です。
見積もり比較サービスを活用すれば、複数の業者に一括で見積もり依頼ができ、効率的に比較検討を進められます。
設計から施工まで一括依頼のメリット
設計と施工を別々の業者に依頼する「分離発注方式」と、同じ業者に一括で依頼する「設計施工一括方式」があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に応じて選択しましょう。
設計施工一括方式のメリットは、設計段階から施工を見据えた提案が受けられることです。コストを抑えながら希望のデザインを実現する方法を、設計段階から検討できます。また、設計者と施工者の間の認識の齟齬によるトラブルも防げます。責任の所在が明確になるため、問題が発生した際の対応もスムーズです。
分離発注方式は、設計の自由度が高く、第三者の立場でデザインを提案してもらえるメリットがあります。施工業者の選定も自由に行えるため、コスト面で有利になる可能性もあります。ただし、設計者と施工者の調整に手間がかかり、トラブルが発生した際の責任の所在が曖昧になりやすいデメリットがあります。
信頼できる内装業者の選び方

内装実績を確認する
美容クリニックの内装は、一般的な店舗内装とは異なる専門知識が必要です。医療法や消防法に基づく設計、医療機器の設置に対応した電気設備など、専門的な要件を満たす必要があります。
業者選定の際は、クリニックや医療施設の内装実績を確認しましょう。過去の施工事例を見せてもらい、デザインの傾向や仕上がりの品質を確認することが重要です。美容クリニックの実績があれば、業界特有のニーズや注意点を理解していることが期待できます。
可能であれば、実際に施工したクリニックを見学させてもらうことをおすすめします。写真だけでは分からない空間の雰囲気や、細部の仕上がりを確認できます。また、施工したクリニックの院長に評判を聞くことができれば、より信頼性の高い情報が得られます。
見積書の透明性
信頼できる業者は、見積書の内容が明確で分かりやすいものです。工事項目ごとの金額が明示されており、質問に対して丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
見積もり金額だけでなく、支払い条件や工期についても確認が必要です。着工時、中間時、完工時など、支払いのタイミングと金額を事前に把握しておきましょう。また、追加工事が発生した場合の対応についても確認しておくことが重要です。
アフターフォローの確認
内装工事完了後のアフターフォロー体制も、業者選定の重要なポイントです。開業後に設備の故障や内装の不具合が発生した際、迅速に対応してもらえる業者であれば安心です。
保証期間や保証内容、不具合が発生した際の対応フローを事前に確認しましょう。一般的に、内装工事の保証期間は一年から二年程度ですが、業者によって異なります。
長期的な関係を築ける業者を選ぶことで、将来的なリニューアルや設備更新の際にもスムーズに相談できます。クリニックの成長に合わせて、内装の改修や増床を検討する際にも、信頼できるパートナーがいることは大きな強みになります。
美容クリニックの内装に関するよくある質問

内装工事のスケジュールはどのくらい?
美容クリニックの内装工事期間は、設計・施工を含めて一般的に二か月から四か月程度を目安としますが、近年は人手不足や資材調達の影響でそれ以上かかるケースもみられます。
内訳としては、設計期間が一か月から二か月、施工期間が一か月から二か月程度です。手術室を設ける場合や、大規模な工事の場合はさらに期間が延びることもあります。また、保健所や消防署の検査日程によっても、開業時期が左右されることがあります。
開業予定日から逆算して、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。物件契約後すぐに設計に着手できるよう、物件探しと並行して内装業者の選定を進めておくとスムーズです。
開業に向けて最初にすべきことは?
美容クリニック開業に向けて、まず取り組むべきは事業計画の策定とコンセプトの明確化です。ターゲット層、提供する施術内容、クリニックの強みを整理することで、必要な内装のイメージが具体化します。
次に、物件探しと資金計画を並行して進めます。希望するエリアの物件情報を収集しながら、金融機関との融資相談も早めに開始しましょう。内装費用だけでなく、医療機器の購入費用や運転資金なども含めた総合的な資金計画が必要です。
物件が決まったら、内装業者の選定と設計に着手します。保健所への事前相談も早い段階で行い、構造設備基準を確認した上で設計に反映させることが重要です。
補助金や助成金は活用できる?
美容クリニックの開業に活用できる補助金・助成金制度がいくつかあります。制度によって対象となる経費や補助率、要件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓に資する取り組みとしての店舗改装等が、要件を満たす場合に対象になり得ます。ただし、経費区分・金額・資産扱い等の条件があり、募集回ごとに対象経費や補助率が変わる場合があります。内装工事費が対象となるケースもあるため、申請前に必ず最新の公募要領を商工会議所や自治体窓口で確認してください。
創業補助金は、新たに創業する事業者を支援する制度で、地域や時期によって内容が異なります。自治体独自の創業支援制度もあるため、開業予定地の商工会議所や自治体窓口に相談することをおすすめします。
補助金は公募期間や要件が定められているため、早めに情報収集を始め、申請スケジュールを計画に組み込むことが重要です。申請書類の準備にも時間がかかるため、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
まとめ

美容クリニックの開業における内装費用は、物件の状態や仕様にもよりますが、坪単価四十万円から七十万円程度がひとつの目安とされています。グレードを高めたり手術室など専門設備を充実させる場合には、八十万円を超えるケースもあります。求めるデザインや診療科目、地域によって大きく変動するため、複数の業者から見積もりを取得して比較検討することが重要です。
内装費用を抑えるためには、居抜き物件の活用や設計施工一括方式の採用が有効です。一方で、コスト削減だけに注力するのではなく、患者様に選ばれるクリニックづくりの視点も忘れてはなりません。
競合が増加する美容クリニック市場において、内装デザインは差別化の重要な要素です。明確なコンセプトに基づいた空間づくりと、患者様の快適性を重視した導線設計が、長期的な経営成功につながります。
内装工事を成功させるためには、信頼できる業者との協力が欠かせません。実績の確認、見積書の透明性、アフターフォロー体制などを総合的に判断し、長期的なパートナーとなれる業者を選びましょう。
内装は一度工事を行うと簡単には変更できません。開業前の計画段階で十分な時間をかけ、理想のクリニックを実現してください。





